【入門】偉人が繋ぐ空のバトン

この内容はフィクションです。
かつてイエスは、湖の上を歩くという奇跡を見せた。そのイエスでさえも起こせなかった奇跡──鳥のように空を飛ぶ、という夢。

メディテレーニアンハーバーの丘の上に、そんな人類の憧れをテーマにした博物館がある。IL MUSEO DEL VOLO FANTASTICO(ファンタスティック・フライト・ミュージアム)である。
この博物館の外壁には、空を自由に飛ぶことに並外れた情熱を注いだ偉人たちの姿が描かれている。

彼らの飛行にまつわる活躍を、現地写真と共に振り返ってみよう。

紀元前4世紀もしくは5世紀頃

1490~1500年代

古代ローマ帝国の分裂以後、多民族の侵入が始まると、これまで平地に合理的な都市を築いてきた住民はその地を追われ、丘や湿地に町を作らざるをえなくなる。強大な自然の前に立たされた人々は中世以来、様々な自然科学や数学、工学などの非キリスト教的思考を発展させた。

ルネサンス時代と呼ばれる、永き科学革命の到来である。

古来、鳥のように空を飛ぶなど神や天使でも無い限りは不可能と考えられ、当時のキリスト教的価値観において空を飛ぶ発想自体がなかった。だが、気体よりも重い質量を持つ鳥が飛べるのだから、人間も技術を駆使すれば飛べる、と考えた者がいた。空気を強く圧迫すると、空気はそれに抵抗して物体を押し上げる力が働く。

彼は一部の職人たちに「非現実主義」「無知なる未熟者」と罵られながらも、理論と可能性を信じ、生涯自由で大胆な構想を持ち続ける。
↑ダ・ヴィンチがかつて遺した手稿をもとに描かれた壁画。鳥の翼を元に作られた人工翼やパラシュート、ヘリコプターの元となった回転翼などのスケッチが見られる。(フォートレス・エクスプロレーション)
運動体が大気を打撃する速さが速いほど、大気は強く圧縮される。その結果、圧縮された軽い流体は重い物体を自分の上で支えられるようになる。
(アトランティコ手稿211)

1670年頃

 真空飛行船の中心には大きな帆があり、操縦は通常の帆船と同様に行われる。さらに4つの小マストにはごく薄い銅板で作られた4つの球殻がくくりつけられている。球の内部の空気は抜かれ、これが浮力を生じるさせる仕組みだ。

1678年

1709年

↑パッサローラは帆布に上面を覆われたボート状の乗り物で、凧の原理によって揚力を得るか、または船体の管を通してふいごから空気を吹き付けて飛ぶ。また、金属球が熱源になるなど熱気球の前身とも言える特徴を有する。

1780年頃

↑フランスで行われた有人飛行で気球は上空910mまで上昇し、25分間、距離9kmにわたる風任せの旅に成功した。気球は軽いタフタ生地に耐火性を持つミョウバンを含むニスを塗ってある。上空での酸素濃度の影響を調べるため、二人は有人飛行の前に動物実験を行う。熱気球に乗った最初の客は、羊、アヒル、ニワトリだったという。

1850年代

ケイリーは、浮くための揚力を得る固定翼と、前へ
進むための推力を得る手動のフラッパーからなる飛行装置を考案。揚力と推力を別々に発生させようとした。風にただ流されるままの熱気球とは違い、人類が自由に空を飛ぶ為には重要な機能である。

そして……1901年。

1901年の今年、カメリア・ファルコの生誕から100年を記念して、ファンタスティック・フライト・ミュージアムでは特別展を開催。

もし訪れることがあれば、あなたはカメリアの一生を振り返る思い出の品を見た後、テラスに展示されたドリーム・フライヤーに実際に腰かけることができる。

時空間推進力は乗り手の想像力に比例する、とはカメリアの説だ。もしかしたら、ドリーム・フライヤーがあなたを乗せて飛び立つことがあるかもしれない。

偉大なチェチェロ山の頂きから
巨大な鳥は初飛行を行い
世界を驚嘆の声で満たし
全ての書物をその名声で満たすだろう
それが生まれし巣に永遠の栄光あれ

                ──ダ・ヴィンチ、鳥の飛翔手稿より

(文・デザイン…Iris Endicott  写真…Iris Endicott/IL MUSEO DEL VOLO FANTASTICO公式サイト)

この内容はフィクションです。
実在のアトラクションに関する一個人の創作であり、公式のストーリーを紹介するものではありません。

ディズニーシーの待ち時間に読んで欲しい嘘記事メディア「ゴーストピア通信」

空想は現実を面白くする。 ヴィランズワールドのはずれにある、ゴーストたちの楽園、ゴーストピアに本社を構える架空のメディア。ディズニーシーを愛する幽霊が、「現実の今」を考えるためにフィクションの力を借ります。

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