【予告】アナザーテラー~もうひとつの物語~

※この内容はフィクションです。
記者に取材を申し込むというのは、妙な気分だった。

タワーオブテラーを題材に何か書けないか。そんな企画が持ち上がった時、私の足は自然とニューヨークグローブ通信社へと向かっていた。
そこには誰よりも永く、ハイタワーホテルを見続けてきた男がいる。

マンフレッド・ストラング。
彼は私に会うなり、こう言った。

「小説の体裁をとってくれないか」 

彼の言い分はこうだ。
記者である自分には事実しか書けない。
だが、本当に重要なことを伝えるには、
事実の羅列では不可能だ、と。

「アナザーテラー」とは、
正確な記録ではない、歴史小説である。

そして、マンフレッド・ストラングという個人が辿り着いた、
ハイタワーホテルに対する暫定的な結論である。
記者の脳裏をよぎる、あの夜の記憶。
──時は1912年。
科学が発展し、人々の思考から魔術や神の存在が薄れて久しい時代に、彼は「呪い」の存在を確信していた。

マンフレッド独りの力では限界があった。
都合よく協力してくれる者もそういない──思っていた矢先にあった、出会いと再会。

異変を前に動揺するマンフレッド。
これだけのことが起きながら、なおも呪いを認めない保存協会に苛立つ。
しかし、対する保存協会の代表、ベアトリスもまた苦悩を抱えていた。
──始めは、確かなものを感じていたのに。

"彼がこっちを見ている"
大柄な男が警戒する視線。その正体は何なのか。
閉ざされていた偶像の眼が、再び開かれる。

ついに邂逅を果たした、宿命の相手。
同じ事件を目撃しながら、
一人は市民を救う者に、
一人は市民を陥れる者になることを選んだ。
そして──。


(編集・デザイン/午前零時の幽霊  写真/アリエルおじさん)

pixivにあげていた小説を、GhostopiaBooksというレーベルで新たにお届けします。

ディズニーシーの待ち時間に読んで欲しい嘘記事メディア「ゴーストピア通信」

空想は現実を面白くする。 ヴィランズワールドのはずれにある、ゴーストたちの楽園、ゴーストピアに本社を構える架空のメディア。ディズニーシーを愛する幽霊が、「現実の今」を考えるためにフィクションの力を借ります。

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